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民法大改正資料22 転貸の効果(民法第613条関係) 解説 民法改正要綱案

現在、100年に一度の民法の大改正作業が行われています。来年(平成27年)の宅建試験には絶対に出題されませんから安心してください。しかしながら、知識の先取りをし、「宅地建物取引士」に向けて一緒に識見を高めていきましょう。なお、以下の記述は、あくまで平成27年2月10日時点における改正案であって、確定したわけではありません。さらに、修正される場合もありえます。修正されたら内容を改定します。 

  【平成27年3月2日更新


【現在の条文】
第613条(転貸の効果)
1  賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人に対して直接に義務を負う。この場合においては、賃料の前払をもって賃貸人に対抗することができない。

2  前項の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。


改正案の内容】(H27年2月10日決定要綱案)
転貸の効果(民法第613条関係)
民法第613条の規律を次のように改めるものとする。
(1) 賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。この場合においては、転貸借契約に定めた当期の賃料を前期の賃料の弁済期以前に支払ったことをもって賃貸人に対抗することができない。

(2) (1)の規定は、賃貸人が賃借人に対してその権利を行使することを妨げない。(民法第613条第2項と同文)

(3) 賃借人が適法に賃借物を転貸した場合には、賃貸人は、賃借人との間の賃貸借を合意により解除したことをもって転借人に対抗することができない。ただし、その解除の当時、賃貸人が賃借人の債務不履行による解除権を有していたときは、この限りでない。


【コメント】
大改正資料22承諾転貸の請求額

1 (1)の「賃借人が適法に賃借物を転貸したときは、転借人は、賃貸人と賃借人との間の賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。」を具体的な事例で言うと、上の図のようになります。
 「適法に賃借物を転貸した」とは、賃貸人の承諾を得て転貸したという意味です。建物の賃借人Bが、賃貸人Aの承諾を得てCに転貸したときは、転借人Cは直接Aに対し転借料を払う義務を負います。この場合、「賃貸借に基づく賃借人の債務の範囲を限度として、賃貸人に対して転貸借に基づく債務を直接履行する義務を負う。」と定めていますから賃料と転借料を比較し少ない金額を支払うことになります。いい方を変えると、賃借人の債務と転借人の債務の重なる範囲で転借人が履行(債務実現)する義務を負います。
 上の図でいうと、Bの賃料が4万円でCの転借料が6万円の場合、CがAに4万円支払うことになる理由は、AはBに対し4万円請求できる権利しかないからです。Bの賃料が7万円でCの転借料が5万円の場合、CがAに5万円支払うことになる理由は、Cは5万円払う義務しかないからです。


2 (1)の「転貸借契約に定めた当期の賃料を前期の賃料の弁済期以前に支払ったことをもって賃貸人に対抗することができない。」とは、たとえば転借人が賃借人(転貸人)に支払う当期の転借料の支払日が4月30日で前期の支払日が3月31日である場合、転借人が賃借人に当期分を3月31日以前に支払った場合でも、賃貸人は転借人に当期分を請求できるという意味になります。

3 (2)は、賃貸人の利益を図るため、賃貸人は転借人に権利を行使できますが、転借人に権利を行使しないで、賃借人に権利を行使してもよいという意味です(どちらに請求してもよい)。

4 (3)について。
 賃貸人Aの承諾を得て賃借人Bが、Cに転貸した場合、BC間の転貸借契約は、AB間の賃貸借契約が前提となっています。そうすると、AB間の賃貸借契約が解除により消滅すれば、BCの転貸借契約も終了するように思えますが、2つのタイプに分類しています。
①AB間で合意解除した場合は、AはCに終了を主張できません。
②BがAに債務不履行(契約違反)したので、それを理由にAがAB間の賃貸借契約を解除した場合には、AはCに終了を主張できます。


【民法大改正資料の一覧】
民法大改正資料1 錯誤について
民法大改正資料2 意思能力について
民法大改正資料3 心裡留保について
民法大改正資料4 詐欺・強迫について
民法大改正資料5 意思表示の効力発生時期
民法大改正資料6 代理人の行為能力(民法102条)について
民法大改正資料7 民法105条 復代理人を選任した代理人の責任
民法大改正資料8 代理権の濫用
民法大改正資料9 職業別の短期消滅時効等の廃止 
民法大改正資料10 債権の消滅時効のおける原則的な時効期間と起算点⇒26年11月4日更新
民法大改正資料11 定期金債権等の消滅時効
民法大改正資料12 敷金
民法大改正資料13 賃貸借の成立(民法601条)
民法大改正資料14 賃貸借の存続期間(民法604条)
民法大改正資料15 短期賃貸借(民法602条)
民法大改正資料16 不動産の賃借人による妨害排除等請求権
民法大改正資料17 不動産賃貸借の対抗力、賃貸人たる地位の移転、賃貸人たる地位の移転を留保する合意
民法大改正資料18 合意による賃貸人たる地位の移転
民法大改正資料19 賃貸物の修繕等(民法606条1項関係)
民法大改正資料20 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
民法大改正資料21 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
民法大改正資料22 転貸の効果(民法第613条関係)
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氷見敏明

Author:氷見敏明
FC2ブログへようこそ! こんにちは、氷見(ひみ)です。私は、宅建指導歴20年、不動産会社、金融機関、専門学校、大学、財団法人、社団法人、クレアールアカデミー、住宅新報社等で老若男女を問わず、延べ1万人以上指導してまいりました。また、他の国家試験の民法の論文指導・解説等をおこない、その過程で多くの方々から質問を受け、受験生の疑問はどこかを熟知し、分かりやすい解説とは何かを追及しております。

主な著作物・『楽学宅建 基本書 』『楽学宅建 一問一答 ○×問題』『楽学マンション管理士(共著)』『マンガはじめてマンション管理士・管理業務主任者(共著)』『まんが はじめて行政書士会社法』『まんが はじめて行政書士記述対策(共著)』『ユーキャンのマンション管理士これだけ一問一答集(共著)』『ユーキャンの管理業務主任者これだけ一問一答集(共著)』『マンション管理士再現問題集(共著)』『管理業務主任者再現問題集(共著)』その他雑誌等に記載多数。

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