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民法大改正資料18 合意による賃貸人たる地位の移転 解説 民法要綱案

現在、100年に一度の民法の大改正作業が行われています。来年(平成27年)の宅建試験には絶対に出題されませんから安心してください。しかしながら、知識の先取りをし、「宅地建物取引士」に向けて一緒に識見を高めていきましょう。なお、以下の記述は、あくまで平成27年2月10日時点における改正案であって、確定したわけではありません。さらに、修正される場合もありえます。 
  【平成27年2月27日更新


現在の条文】
ありません。

改正案の内容】(H27年2月10日決定要綱案)
■賃貸人たる地位の移転について、次のような内容を設けます。

(合意による賃貸人たる地位の移転)
不動産の譲渡人が賃貸人であるときは、その賃貸人たる地位は、賃借人の承諾を要しないで、譲渡人と譲受人との合意により、譲受人に移転させることができる。この場合においては、4(4)及び(5)の規定を準用する。

4(4)⇒賃貸人たる地位の移転は、賃貸物である不動産について所有権移転の登記をしなければ、賃借人に対抗することができない。
4(5)⇒賃貸人たる地位が譲受人又はその承継人に移転したときは、敷金の返還に係る債務及び民法第608条に規定する費用の償還に係る債務は、譲受人又はその承継人に移転する


資料18の例1の図
 例1の図にように、Bは、A所有の土地を駐車場として賃借し、賃借権の登記を取得した。このように、対抗力のある賃借権が設定されている土地の所有者AがCに売却すれば、当然に賃貸人たる地位はAからCに移転します。⇒民法大改正資料17で説明しました。

資料18の例2の図
(1) Aは自己所有の土地を駐車場としてBに賃貸したが、Bには登記がない(例2の図)。その後、Aが、Cに土地を売却した場合、Cは、Bに土地の明け渡しを請求できます。Bの賃借権は、第三者に対する対抗力がないからです。
      ↓
 しかし、Cは、賃貸人たる地位を引き継ぎたいと考える場合もあり得ます。そこで、譲渡人Aと譲受人Cの間で、賃貸人たる地位の移転の合意をすれば賃貸人たる地位が譲受人Cに移転します。そして、この場合、賃借人Bの承諾は不要としました。⇒改正案前段

(2) 次に、合意によって賃貸人たる地位を取得したCが、賃貸人たる地位をBに主張する場合には、AからCへの移転登記がなされている必要があります。賃貸人が誰かということを明確にするために、譲受人が移転登記を受けている必要があるとしたのです。⇒改正案後段4(4)
       ↓
 賃貸人たる地位がAからCに移転したときは、敷金返還債務もCに移転します。また、賃借人Bが必要費(修理費用)や有益費(壁紙の張り替え費用)を支出した場合、必要費・有益費返還債務もCに移転します。⇒改正案後段4(5)

※注1 ところで改正案後段4(5)の文言に「承継人」とありますが、これは、例えばCが死亡した場合のCの相続人を指します。
※注2 有益費は、契約終了時に、賃貸人が支払うことになっています(民法608条2項)。


【民法大改正資料の一覧】
民法大改正資料1 錯誤について
民法大改正資料2 意思能力について
民法大改正資料3 心裡留保について
民法大改正資料4 詐欺・強迫について
民法大改正資料5 意思表示の効力発生時期
民法大改正資料6 代理人の行為能力(民法102条)について
民法大改正資料7 民法105条 復代理人を選任した代理人の責任
民法大改正資料8 代理権の濫用
民法大改正資料9 職業別の短期消滅時効等の廃止 
民法大改正資料10 債権の消滅時効のおける原則的な時効期間と起算点⇒26年11月4日更新
民法大改正資料11 定期金債権等の消滅時効
民法大改正資料12 敷金
民法大改正資料13 賃貸借の成立(民法601条)
民法大改正資料14 賃貸借の存続期間(民法604条)
民法大改正資料15 短期賃貸借(民法602条)
民法大改正資料16 不動産の賃借人による妨害排除等請求権
民法大改正資料17 不動産賃貸借の対抗力、賃貸人たる地位の移転、賃貸人たる地位の移転を留保する合意
民法大改正資料18 合意による賃貸人たる地位の移転
民法大改正資料19 賃貸物の修繕等(民法606条1項関係)
民法大改正資料20 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
民法大改正資料21 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
民法大改正資料22 転貸の効果(民法第613条関係)


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氷見敏明

Author:氷見敏明
FC2ブログへようこそ! こんにちは、氷見(ひみ)です。私は、宅建指導歴20年、不動産会社、金融機関、専門学校、大学、財団法人、社団法人、クレアールアカデミー、住宅新報社等で老若男女を問わず、延べ1万人以上指導してまいりました。また、他の国家試験の民法の論文指導・解説等をおこない、その過程で多くの方々から質問を受け、受験生の疑問はどこかを熟知し、分かりやすい解説とは何かを追及しております。

主な著作物・『楽学宅建 基本書 』『楽学宅建 一問一答 ○×問題』『楽学マンション管理士(共著)』『マンガはじめてマンション管理士・管理業務主任者(共著)』『まんが はじめて行政書士会社法』『まんが はじめて行政書士記述対策(共著)』『ユーキャンのマンション管理士これだけ一問一答集(共著)』『ユーキャンの管理業務主任者これだけ一問一答集(共著)』『マンション管理士再現問題集(共著)』『管理業務主任者再現問題集(共著)』その他雑誌等に記載多数。

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