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民法大改正資料8 代理権の濫用について 解説 民法改正 債権法改正 要綱案

現在、100年に一度の民法の大改正作業が行われています。来年(平成27年)の宅建試験には絶対に出題されませんから安心してください。しかしながら、知識の先取りをし、「宅地建物取引士」に向けて一緒に識見を高めていきましょう。
 なお、以下の記述は、あくまで平成27年2月10日時点における改正案であって、確定したわけではありません。さらに、修正される場合もありえます。 
  【平成27年2月27日更新

改正案の条文の内容】(H27年2月27日決定要綱案)
新しく設けられる条文で、現在、代理権の濫用の条文は存在しません。

(代理権の濫用)
 代理人が自己又は第三者の利益を図る目的で代理権の範囲内の行為をした場合において、相手方がその目的を知り、又は知ることができたときは、その行為は、代理権を有しない者がした行為とみなす


【コメント1】
 代理人が、横領・着服目的で代理行為をした場合に適用する条文です。横領・着服目的で行う代理行為を「代理権の濫用」といいます。

資料8の1
具体例⇒たとえば、Aは、自己所有の甲土地を売却する代理権をBに授与し、Bは、代金を着服する目的でCに甲土地を売却した。その際、Cは、Bの濫用の意図につき悪意又は善意有過失であれば、無権代理となり、AC間に売買契約の効力は生じません。Cが、Aに対し、甲土地の引渡しを請求してきても、Aは、甲土地の引渡しを拒絶することができます。


※ 代理権濫用行為については、判例は、民法第93条ただし書を類推適用して、相手方が代理人の濫用目的を知り又は知ることができたときは、その代理行為の効果は生じないとしていました(最判昭和42年4月20日)。

【コメント2】
① 代理権濫用行為は、相手方Cが悪意又は善意有過失の場合は、無権代理となります。⇒相手方Cが善意無過失であれば、AC間の売買契約は有効になります。

② 相手方Cが悪意又は善意有過失であったので無権代理となる場合には、本人Aは、追認をして有効にすることもできますし、追認を拒絶して無効に確定することもできます。
 
③ Cが善意有過失であれば、本人Aが追認する前であれば、Cは無権代理行為を取り消すこともできます。

④ 相手方Cが悪意又は善意有過失の場合、Cが更に、転得者Dに売却した場合の転得者Dの保護については、解釈に委ねられます

ⅰ) Dは、全く保護されない(不動産の場合)。
ⅱ) Dは、善意であれば保護される。
ⅲ) Dは、善意無重過失であれば保護される。
ⅳ) Dは、善意無過失であれば保護される。


問題点⇒改正案は、代理権の濫用は、無権代理だとしました
今までの代理権の濫用についての本人を保護する理論構成として、


①民法93条ただし書類推適用説。判例・通説。⇒代理権濫用行為は、無権代理ではなく有権代理と考えるべき。そこで、心裡留保の規定を類推適用して、Cが善意無過失であればCが保護される。Cが悪意又は善意有過失の場合は無効となり本人Aが保護される。転得者Dは、虚偽表示の94条2項を類推適用して保護するので、Dは善意であれば保護される。←改正案は、代理権の濫用行為は、無権代理になるとしています。

②信義則違反説⇒代理権濫用行為は、無権代理ではなく有権代理と考えるべき。相手C方が悪意又は善意重過失の場合は、Cが「私の物だ」と主張するのは信義に反するからAが保護される。Dは、善意無重過失であれば保護される。←改正案は、代理権の濫用行為は、無権代理になるとしています。また、改正案は、相手方Cが保護されるには善意無過失が必要だとしています。善意無重過失ではありません。

③無権代理説⇒代理権濫用行為は、無権代理であり、相手方は善意無過失であれば表見代理で保護される。代理の問題点は、代理の条文で解決すべきであり、心裡留保についての民法93条ただし書を類推するのは妥当でない。また、信義則は、他に解決の方法がない場合に、やむを得ず利用すべきであって、信義則を採用しなくても解決できるから妥当でない。←表見代理は直接の相手方Cについてのみ成立するというのが判例である。Cが悪意又は善意有過失の場合は、Dが善意無過失であっても、Dには表見代理は成立しないのでは?等等

【民法大改正資料の一覧】
民法大改正資料1 錯誤について
民法大改正資料2 意思能力について
民法大改正資料3 心裡留保について
民法大改正資料4 詐欺・強迫について
民法大改正資料5 意思表示の効力発生時期
民法大改正資料6 代理人の行為能力(民法102条)について
民法大改正資料7 民法105条 復代理人を選任した代理人の責任
民法大改正資料8 代理権の濫用
民法大改正資料9 職業別の短期消滅時効等の廃止 
民法大改正資料10 債権の消滅時効のおける原則的な時効期間と起算点⇒26年11月4日更新
民法大改正資料11 定期金債権等の消滅時効
民法大改正資料12 敷金
民法大改正資料13 賃貸借の成立(民法601条)
民法大改正資料14 賃貸借の存続期間(民法604条)
民法大改正資料15 短期賃貸借(民法602条)
民法大改正資料16 不動産の賃借人による妨害排除等請求権
民法大改正資料17 不動産賃貸借の対抗力、賃貸人たる地位の移転、賃貸人たる地位の移転を留保する合意
民法大改正資料18 合意による賃貸人たる地位の移転
民法大改正資料19 賃貸物の修繕等(民法606条1項関係)
民法大改正資料20 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
民法大改正資料21 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
民法大改正資料22 転貸の効果(民法第613条関係)

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氷見敏明

Author:氷見敏明
FC2ブログへようこそ! こんにちは、氷見(ひみ)です。私は、宅建指導歴20年、不動産会社、金融機関、専門学校、大学、財団法人、社団法人、クレアールアカデミー、住宅新報社等で老若男女を問わず、延べ1万人以上指導してまいりました。また、他の国家試験の民法の論文指導・解説等をおこない、その過程で多くの方々から質問を受け、受験生の疑問はどこかを熟知し、分かりやすい解説とは何かを追及しております。

主な著作物・『楽学宅建 基本書 』『楽学宅建 一問一答 ○×問題』『楽学マンション管理士(共著)』『マンガはじめてマンション管理士・管理業務主任者(共著)』『まんが はじめて行政書士会社法』『まんが はじめて行政書士記述対策(共著)』『ユーキャンのマンション管理士これだけ一問一答集(共著)』『ユーキャンの管理業務主任者これだけ一問一答集(共著)』『マンション管理士再現問題集(共著)』『管理業務主任者再現問題集(共著)』その他雑誌等に記載多数。

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