民法大改正資料1 錯誤について 解説 民法改正要綱案

現在、100年に一度の民法の大改正作業が行われています。来年(平成27年)の宅建試験には関係ありませんが、知識の先取りをし、宅地建物取引士に向けて一緒に識見を高めていきましょう
 なお、以下の記述は、あくまで改正案であって、確定したわけではありません。さらに、修正される場合もありえます。
 
民法大改正資料2~22も見てくださいね\(^^)

ここです⇒http://sagamijin.blog136.fc2.com/blog-category-41.html
【平成27年2月27改訂



現在の条文の内容】
民法95条(錯誤)⇒意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない

改正案の内容】(H27年2月10日要綱案)
民法第95条を次のように改める予定です。
(1). 意思表示は、次に掲げる錯誤に基づくものであって、その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なものであるときは、取り消すことができる。
 ア 意思表示に対応する意思を欠くもの
 イ 表意者が法律行為の基礎とした事情についてのその認識が真実に反する錯誤

(2). (1)イの規定による意思表示の取消しは、その事情が法律行為の基礎とされていることが表示されていたときに限り、することができる。

(3). 錯誤が表意者の重大な過失によるものであった場合には、次に掲げる場合を除き、(1)の規定による意思表示の取消しをすることができない。
 ア 相手方が表意者に錯誤があることを知り、又は重大な過失によって知らなかったとき。
 イ 相手方が表意者と同一の錯誤に陥っていたとき。

(4). (1)による錯誤による意思表示の取消しは、善意でかつ過失がない第三者に対抗することができない。



【コメント
① 現在の民法では、錯誤に該当する場合は、無効ですが、改正案では、錯誤に該当する場合には、取り消すことができると定めています。

② 改正案の(1)のアを「表示行為の錯誤」といいます。
 「ア 意思表示に対応する意思を欠くもの」とは、例えば、AがBに建物を1,000万円で売るつもりで、うっかり0を一つ付け忘れ100万円と書いてしまったとか、言い間違えたと言うように、外に表した意思と、頭の中で描く意思がくい違い、それを知らないで行っている場合です。


③ 現在の民法では、動機の錯誤の規定はありませんでしたが、改正案では、動機の錯誤の条文を設けました。それが、改正案の(1)イと(2)です。
 動機の錯誤とは、簡単にいうと、契約自体には、カン違いはないけど、契約をするに至った動機にカン違いがある場合です。例えば、今、土地を買っておけば、2年後に1.5倍になると思ったのに、値上がりしなかったとか、はたまた、最近流行のブランドの服を買って着れば、女性にモテると思って買ったのに、全くモテなかったとかというような場合です。ただし、「その錯誤が法律行為の目的及び取引上の社会通念に照らして重要なもの」とは言えないでしょうね
服のせいじゃないですよね~f(^^;)


④ 現在の民法では、錯誤無効は、善意無過失の第三者に対しても対抗できますが、改正案では、錯誤を理由とする取消しは善意無過失の第三者には対抗できないものとなっています。⇒改正案(4)

【コメント
改正案3について
① 重大な過失に基づいて錯誤に陥った者は、錯誤による取消しをすることができません。⇒改正案(3)本文

② 錯誤者に重大な過失があったとしても、相手方が、表意者のカン違を知っていたり(悪意)、重過失によって知らなかった場合には、相手方を保護する必要はないので、錯誤者は取り消すことができます。⇒改正案(3)ア 

③ 表意者が重大な過失によってカン違いしていた場合でも、相手方も同じカン違いをしていた場合には、表意者に取消しを認めても相手方に不都合はありません。相手方も、こんな契約はなかったことにしてほしいはずですから、重過失の表意者に取消しを認めたのです。⇒改正案(3)イ


【コメント
改正案の内容は、現在の宅建試験と全く関係がないかというとそうでもないのです。宅建試験の民法の作問委員は、当然、改正作業に注目されていますので、影響がでるんですね。

平成25年問1の問題は以下の通りでしたね。

【問 1】次の記述のうち、民法の条文に規定されているものはどれか。
1 意思表示に法律行為の要素の錯誤があった場合は、表意者は、その意思表示を取り消すことができる旨
※このような条文は現在ありませんね。しかし、この肢は、改正案の内容ですね。
 

平成23年問1の問題は以下の通りでしたね。
【問 1】 A所有の甲土地につき、AとBとの間で売買契約が締結された場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
1 Bは、甲土地は将来地価が高騰すると勝手に思い込んで売買契約を締結したところ、実際には高騰しなかった場合、動機の錯誤を理由に本件売買契約を取り消すことができる。
※これも、民法改正案の内容ですね。


【民法大改正資料の一覧】
民法大改正資料1 錯誤について
民法大改正資料2 意思能力について
民法大改正資料3 心裡留保について
民法大改正資料4 詐欺・強迫について
民法大改正資料5 意思表示の効力発生時期
民法大改正資料6 代理人の行為能力(民法102条)について
民法大改正資料7 民法105条 復代理人を選任した代理人の責任
民法大改正資料8 代理権の濫用
民法大改正資料9 職業別の短期消滅時効等の廃止 
民法大改正資料10 債権の消滅時効のおける原則的な時効期間と起算点⇒26年11月4日更新
民法大改正資料11 定期金債権等の消滅時効
民法大改正資料12 敷金
民法大改正資料13 賃貸借の成立(民法601条)
民法大改正資料14 賃貸借の存続期間(民法604条)
民法大改正資料15 短期賃貸借(民法602条)
民法大改正資料16 不動産の賃借人による妨害排除等請求権
民法大改正資料17 不動産賃貸借の対抗力、賃貸人たる地位の移転、賃貸人たる地位の移転を留保する合意
民法大改正資料18 合意による賃貸人たる地位の移転
民法大改正資料19 賃貸物の修繕等(民法606条1項関係)
民法大改正資料20 賃借物の全部滅失等による賃貸借の終了
民法大改正資料21 賃借物の一部滅失等による賃料の減額等
民法大改正資料22 転貸の効果(民法第613条関係)


スポンサーサイト

コメントの投稿

非公開コメント

プロフィール

氷見敏明

Author:氷見敏明
FC2ブログへようこそ! こんにちは、氷見(ひみ)です。私は、宅建指導歴20年、不動産会社、金融機関、専門学校、大学、財団法人、社団法人、クレアールアカデミー、住宅新報社等で老若男女を問わず、延べ1万人以上指導してまいりました。また、他の国家試験の民法の論文指導・解説等をおこない、その過程で多くの方々から質問を受け、受験生の疑問はどこかを熟知し、分かりやすい解説とは何かを追及しております。

主な著作物・『楽学宅建 基本書 』『楽学宅建 一問一答 ○×問題』『楽学マンション管理士(共著)』『マンガはじめてマンション管理士・管理業務主任者(共著)』『まんが はじめて行政書士会社法』『まんが はじめて行政書士記述対策(共著)』『ユーキャンのマンション管理士これだけ一問一答集(共著)』『ユーキャンの管理業務主任者これだけ一問一答集(共著)』『マンション管理士再現問題集(共著)』『管理業務主任者再現問題集(共著)』その他雑誌等に記載多数。

最新記事
カテゴリ
リンク
月別アーカイブ
最新トラックバック
今日の運勢はどんなんかな?おっ!
今日の天気はどうかな?宅建試験日(10月第3日曜日)のお天気は?

-天気予報コム- -FC2-
検索フォーム
RSSリンクの表示
QRコード
QR
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる